連載小説 「天使の証明」 第1話 出会い

四月十五日、晴れた空、太陽が燦々と輝く、春だった。

僕は都内のとある大学の大学生。今年で3年だ。苦労して大学に受かったはいいけど、彼女はできないし何もいいことはない。学内で女性はたくさん見かけるけど、縁のない生活を送っている。

「あー、今日もバイトか…」

とにかくお金がなかった。いや、お金がないから彼女ができないというわけじゃない。単に生活に苦しい。学業とバイトの両立、よくある話だけど毎日大変だ。

バイトの前に一つ講義がある。今年度最初の講義だ。講義の名前はたしか「デカルトの哲学」、一般教養なので気軽に受けることができる。まあ最初だし、概論的な話で終わるだろうという安心感もある。なんでこんな講義を取ったかというと、哲学科の友達に勧められたからだ。その友達はデカルトの懐疑主義に興味があって勉強してるらしい。「デカルトは何もかもを疑ってすごいんだ。」という話を何百回も聞かされた。「へえ。」という感想しかなかったけど、友達にそう言われてなんとなく興味をもっていた。

学内をうろつきながら喫煙所に向かう。最近は年々喫煙所も減ってきてタバコも落ち着いて吸えやしない。喫煙所に着くと、その友達がいた。

「お前もタバコか?」

「そうだけど。」

「今日はデカルトの哲学の日だな。」

「他人のことなのによく覚えてるな。」

「当たり前だ。あの講義はすごいからな。特にあの教授の〜〜」

鬱陶しいので後半は何を言っているのかよく聞いていなかった。話が長すぎたというのもある。この友達、中田史郎とはサークルが同じでよく一緒に遊んだり飲んだりしている。金もあるし彼女もいる。いわゆるリア充だ。デカルトの話なんかする奴に彼女がいるのかと思えるんだけど、こいつは僕の前でしか哲学について語らない。普段は普通の大学生として楽しそうに学生生活を満喫している。

「話が長いからまた後でな。」

僕はそう言って吸殻を灰皿にねじ込み、それでも話を続ける中田を無視してさっさと講義に向かった。

中田を振り払ったおかげで20分も早く教室に着いてしまった。前の講義がまだ終わってない。まあいいか、と思い、勝手に教室に入って着席した。すると、なんともいい香りがしてきた。あ、この講義は…、マクロ…経済?よくわからないけど、僕の所属する理工系の講義にはない空気だ。いい匂い、これは、女人の香りか。周りを意識してみると確かに女子が多い。くそ、羨ましい。何が楽しくてこの後デカルトの講義なんか聴かないといけないんだ。

5分後、講義が終わり女の子たちは皆退散していった。その後入ってきたのは、汚い格好で何やら難しい顔をした男子大学生たちだ。こんな奴らと講義を受けるのか…。僕は内心戸惑いながらも、関わらなければいいやと言う気持ちで寝たふりをした。この後バイトもある。寝ておかないと疲れるのだ。

講義が始まった。

「えー、哲学というのは、〜〜〜、えー、そもそもタレスによる自然哲学に始まり、〜〜〜、えー、ソクラテスが、〜〜〜。」

終わった。デカルトの話は出てこなかった。なんだったんだ結局。出席のカードだけ提出して、すぐ逃げるように教室をでた。早く帰宅しないとバイトに間に合わない。

バイト先は近所のコンビニだ。何の変哲もないただのコンビニ。客は近所の人とバカな学生くらいしかこない。めんどくさいなぁと思いながら商品の品出しをしていた。その時、自動ドアが開いた。客か、めんどくさい。

「いらっしゃいませー」

適当に挨拶をした。と、同時にいい香りが店内に漂ってきた。お客さんは女性であった。黒髪のショートへア、肩幅は狭く小柄、でもおっぱいはキュッと突き出していた。

天使が舞い降りた。

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